奨学生 7月の月次レポートを掲載しました

 

 かめのり財団が支援する大学院留学アジア奨学生は、毎月月次レポートを作成し、月ごとの研究の進捗状況や日々の様子を報告しています。HPでは毎月、2名のレポートをご紹介します。

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2026年7月)

 

早稲田大学社会科学研究科修士2年

宋在洹

 

1.研究について

 

 今月は研究的に大きな刺激があった一ヶ月であった。まず、14日には他研究室と合同で内部発表があった。発表はとても上手くいったし、たくさんの質問をいただけてますます研究への励みとなる良い機会であった。

 また、29日には静岡に赴き、副査の内の一人である先生から直接ご指導をいただいた。専門的な知識を忌憚なくご教示いただき、自分の論文に足りない要素を客観的に認識することができた。

 そして、これらを元に指導教員と話し合い、夏休み中の計画を立てることができた。最終提出前の最後の長期休暇であり、研究に没頭できる絶好のチャンスを計画的かつ有意義に過ごしていきたい。

 自分に足りないものが分かれば、そこを補えばいいのでやることが単純明快で気楽である。また、これから続く研究生活において修士の時期とはきっと今後の基盤となる考えや必要なスキルを育む時期であり、やるべきことは多いくらいが丁度良いと思う。幸い良い仲間にも恵まれた。私は自分の研究室に同期がいないのだが、他研究室の同期たちが声をかけてくれ、夏休み中の毎週日曜日は集まって共に執筆に励むこととなった。研究とは最後は一人での戦いかもしれないが、そのプロセスまで一人でいる必要は必ずしも無いと考える。

 この暑さに負けないくらい熱い気持ちでこれからも研究に励んでいくことを心に決めた7月であった。

 

 

2.生活について

 

 一方で、そんな熱い気持ちばっかりでは空回りしてしまうこともあるだろう。好きな名言の一つに「熱い心と冷たい頭」という言葉がある。本当にそのとおりだと思う。

 そんな自分を見越してか指導教員が息抜きも兼ねてと大阪のフィールドワークに連れて行ってくださった。テーマは大阪から考える多文化共生であり、主に大阪と根強い歴史的関係がある在日コリアンの歩みや現状を学んだ。大阪に来るのがそもそも久しぶりであったため、とても楽しむことができたし、大阪に住む友人にも会うことができて非常に充実した時間を過ごせた。

 つくづく、自分は周りの人達に恵まれたし、助けてもらってばかりであると感じる。それが悪いことだとはもちろん思わないが、とても光栄なことだと思う。きっとその人達への恩返しは、それを他の人達へ惜しみなく還元することだと考える。かめのり財団の理念にも通底するこの思いを忘れずに、自分のやれることはどんなに小さくても良いから積極的に考えて実践していきたい。

 

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2026年7月)

 

筑波大学大学院人間総合科学学術院教育学学位プログラム

博士後期課程(D3)

甄 卓榮 (ケン タクエイ)

 

1.研究について

 

 今月をもって、博士論文のためのデータ収集は概ね終了しました。昨年4月から3つの高校でアンケート調査とインタビュー調査を実施してきましたが、今年の夏休み前までに3校で約30名の生徒へのインタビュー調査を終え、博士論文に必要な実証データは概ね揃いました。地域や学力層が異なる学校の生徒と接することで、より多角的に日本社会を理解することができたように感じます。当然のように東京大学医学部を目指している生徒もいれば、大学には進学せず地元の工場への就職を考えている生徒もいました。このような生き方の違いは、教育社会学では「階層差」として扱われることが多いですが、一人ひとりの生徒と直接話をすることで、社会学的概念だけでは捉え切れない豊かな人間性を感じ取ることができました。幼い頃に喘息を治してもらった経験から医師になりたいと語るときの照れくさそうな表情。これから家族と一緒に工場見学をたくさんして、休みの多い職場に就職できたらいいなあと話すときの将来への期待。このような一人ひとりの生き方から感じ取ったものこそ、社会に対する理解を形づくる最も根本的な部分ではないかと思いました。

 論文については、現在1本目の論文を最終修正しており、特に問題がなければ12月に学会誌へ掲載される予定です。2本目の論文は、6月末と7月末にそれぞれ日本語と英語で学会発表を行い、多くのご意見をいただきました。現在はそれらを踏まえて修正を進めており、8月に投稿する予定です。8月はインタビュー調査の分析をもとに、3本目の論文執筆にも取り組みたいと考えています。

 研究を進める一方で、研究テーマに関連する日本の政治情勢にも注目していました。国旗損壊罪法案の可決や皇室典範の改正をめぐる議論、さらに入管制度や永住に関する規制強化の動きなどを見ていると、「国家」は現代社会を理解するうえで避けて通ることのできない存在であることを改めて実感しました。政治の構造を直接変えることはできなくても、教育や思想、そして自身の生き方を通して、より理性的で寛容な社会の実現に貢献できるのではないかと思います。

 7月末には、英語による学会発表を行いました。その際、私の研究に関心を示してくださった日本のある名門大学の先生から、秋学期にゲストスピーカーとして招いていただけることになりました。あまりにも意外なお話で、大変うれしく感じました。また、海外の学会についてもご紹介いただき、来年の参加を検討しています。

 

 

2.生活状況について

 

 夏休みに入ると、大学のサークルではさまざまな合宿が行われ、私もいくつか参加してみました。

一つは、他大学のチームと一日中練習試合を行う本格的なバレーボール合宿で、松本や上田を訪れ、帰りには初めて軽井沢にも立ち寄りました。さすがに長野県だけあって、関東平野よりもずっと涼しく、すばらしい避暑地でした。もう一つの合宿では千葉へ行き、久しぶりにプールにも入りました。祝日で非常に混雑していましたが、友達と一緒に列に並ぶ時間も退屈ではありませんでした。翌日は動物園へ行き、至近距離で象やキリンを見て、その大きさに驚きました。ただ、あまりにも暑かったので、動物園に行くなら夏以外の季節の方がよかったと思いました。