奨学生 3月の月次レポートを掲載しました

 

 かめのり財団が支援する大学院留学アジア奨学生は、毎月月次レポートを作成し、月ごとの研究の進捗状況や日々の様子を報告しています。HPでは毎月、2名のレポートをご紹介します。

 

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2026年3月)

 

 

早稲田大学社会科学研究科修士1年

宋在洹

 

1.研究について

 

 今月の7日、杉並光友会および杉並区の主催・共催のシンポジウムに登壇者として参加し、ノーベル平和賞受賞団体日本被団協より濱住さんと核兵器の無い世界の実現についてトークセッションを行った。当日は私自身の研究内容に即し、核兵器が現状世界でどのような認識にある兵器であるかについて恐れ多くも知識をアウトプットさせていただく機会に恵まれた。

 

 また、論文にも大きな進歩が見えた。今までは特定の概念に固執していた節があったため、思うような論理構成を構築することが出来ていない印象があった。そこから、改めて先行研究等を丁寧に洗い出し、自分の問いとじっくり向き合った結果、上述の概念に囚われすぎず、それでいて論理に無理の無い構成を構築することができた。

 

 正直前までは思うように論文を前進させることができず、少しもどかしさもあったが、問などを見直したことによってスムーズに論文を書き進めることができ、一種のブレイクスルーを体験したようだった。これからも躓く体験は多分にあるだろうが、その時も初心を忘れず、自分が何を書きたいのか、解き明かしたいのかという原動力を忘れず、執筆に励んでいきたい。

 

 

2.生活について

 

 先日、友人の結婚式に出席した。学部時代の友人であり、大学時代に初めて出来た友人の一人でもある。また、お相手の新婦側とも私は友人であり、そんな大切な二人の友人の晴れ舞台に有り難くも同席でき、友人挨拶やその後の二次会進行・司会等の大役にも任命していただいた。

 

 私は日常生活であまり涙を流すことは少ないが、結婚式だけは別だ。特に、長い間時を共にした友人が結婚するとなると、格別の感動を実感する。だからいつも結婚式だけは、一目を憚らず感情を素直に表すようにしている。

 

 立場をわきまえず、とても烏滸がましいが、結婚式とはゴールではなく、スタートである。しかし、式のあの空間だけは二人のこれまでを振り返り、赤の他人同士が様々な縁に結ばれてここまで来た一種のゴールにも思えた。友人として、二人のそんな今までの人生の一端となれたことはとても誇らしい。

 

 きっと、二人にはこれから色々な困難や葛藤が待っているかもしれない。しかし、二人ならそれ以上の幸せが待っているだろうし、そんな困難や葛藤も乗り越えられると思う。こんな感動をくれた二人にこの場をお借りして感謝を述べるとともに、来月からの新年度に向けて私自身もそんな二人が誇れるような友人として努力していきたいと思う。

 

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2026年3月)

 

 

大阪大学大学院人文学研究科言語文化学専攻

博士後期課程(D2)

NGUYEN THI LINH (グェン ティ リン)

              

1.研究について

 

 2026年3月において、データ収集の過程に予期せぬ変化が生じ、それに伴い研究方法の調整を行う必要が生じました。具体的には、3月初旬より研究対象の児童が重篤な健康問題(胃出血)を抱えたため、ご家族は一時的にベトナムへ帰国させ、6月まで治療を行うこととなりました。この状況を受け、従来のフィールドワークによる参与観察から、週末ごとに定期的な対話を行う方法へと切り替えました。これらのやり取りを通じて、児童の健康状態や心理的変化、さらにご家族の今後の見通しについて継続的に把握しております。

 

 また、父親へのインタビューからは、子ども二人を日本に呼び寄せて共に生活することが、当初の想定以上に困難であるという認識が示されました。放課後に友人と過ごす機会が乏しいことに加え、両親が仕事で多忙であるため、子どもたちは主にSNSの利用やゲームに時間を費やしている状況です。さらに、日によっては兄弟二人だけで夜の時間を過ごさざるを得ない状況も見られます。当初、本研究は児童の学校適応に焦点を当てていましたが、多様な生活場面における観察を通じて、研究の射程は小学校教育の枠組みを超え、日本において外国籍の子どもが生活し学ぶための環境形成の困難性を明らかにする方向へと拡張されました。

 

 さらに今月は、静岡にある早稲田大学のセミナーハウスにて開催された、言語人類学に関する3日間のセミナーに参加いたしました。このセミナーを通じて、文化人類学における社会記号論に関する基礎的理論に触れる機会を得ました。特に、これまで個人的に学んできた陰陽五行や『易経』といった知識が、より広範な哲学的潮流の中に位置づけられることで、従来は現代社会科学とは関連が薄いと考えていた知的体系が、人類学という別の学問領域において再解釈され得ることを認識いたしました。

 

2.生活について

 

 3月に入り、自分で育てたジャガイモの収穫を始め、日々の食事に取り入れるようになりました。ひとつの種芋から新たに育ったジャガイモを手にしたとき、自然における生命の増殖という不思議さを強く実感しました。冬は、厳しい寒さのため、多くの生き物にとって身を潜める季節です。昆虫は秋に落ちた枯れ葉の下に潜り、木々の多くは葉を落として静まり返ります。しかし、ジャガイモのように土の中で力強く成長を続ける植物も存在します。この対照的なあり方は、過酷な環境の中にあってもなお生命が持続し続けるという、自然の多様な営みを示しているように感じられます。

 

 3月の終わり頃になると、気温は徐々に上昇し、夏に向けて新たに植物を育てるため、鉢の土を整え始めました。勉強の合間には、ときおりカラスやスズメが鉢に舞い降りることがあり、その光景は静かな安らぎをもたらします。鳥たちの動きと満開に咲く桜の様子は、私に生命力に満ちた春の感覚を呼び起こします。それは、再生と芽吹きの季節です。