【報告】多文化共生ネットワーク会議 2024 in 富山 -多文化共生地域ネットワーク支援事業-
2025.06.03
公益財団法人かめのり財団では、2022年度より、日本国内での多文化共生に向けた担い手育成とネットワーク形成を目的とした事業を行っています。現在、国内では外国人の受け入れや共生施策への必要性や機運が高まる一方で、地域における推進の担い手が不足している状況であり、その担い手と、事業を進める組織の育成が急務となっています。
2024年9月と10月に「かめのり多文化共生塾2024」を一般財団法人ダイバーシティ研究所のご協力のもと実施しました。今回も引き続き一般財団法人ダイバーシティ研究所のご協力を得て、多文化共生塾参加者のネットワークを広げ、横の繋がりをつくるために、2022年度~2024年度の多文化共生塾受講者を対象とした「持続可能な地域づくりをめざす担い手育成のための多文化共生ネットワーク会議2024 in 富山」を2025年1月24日(金)~1月26日(日)の日程で開催し、日本各地から地域の多文化共生に関わる関係者19名が集いました。
1日目の午前は、富山県内の多文化共生に従事している各団体の訪問をしました。外国ルーツの子どもたちへの学習支援の様子を見学したり、建設中のモスクの見学をしたりして、活動に携わっている方からのお話を聞く機会があり、参加者からの質問や意見交換も活発に行われました。
1日目午後からは、公開セミナーでオンライン参加者も交えながら講義形式で実施されました。公開セミナー①では、かめのり財団の事業助成を受けて2024年度に活動をしている団体からの活動報告や2025年度の事業助成の募集ついての説明をしました。
助成金の活用状況やその活動・支援事業が地域社会にどのように貢献できているか、発表した団体の活動をよく知ることができました。
公開セミナー②では、能登半島地震の被災地支援活動の中から見えた多文化共生の課題や可能性について、支援に携わった関係者と外国人当事者が講師として話をしました。被災地の現状を知り、外国ルーツの被災者や被災者支援に携わる方の実体験を聞き、災害があった時に誰もが必要な情報を得ることができ、必要な支援を得られるような準備の必要性を感じました。また同時に、防災について外国ルーツの方も地域住民と共に学んでおくことの大切さも実感しました。
後半にはグループ討議が行われ、参加者同士の意見交換も行われました。
2日目には、石川県輪島市の被災地を訪れるオプションツアーが設定されていました。
オプションツアーでは、輪島へ向かう道中で、富山市内の外国人が経営している中古車の会社、イスラム教のモスクなどを車窓から見ながら、石川県へ向かいました。途中の高速道路では、高低差のある大きな段差、斜面のがけ崩れ、道路ひび割れなどが多数あり、さらに輪島市内へ入っていくと倒壊した建物がまだまだ撤去されずに残されている現状が確認できました。
実際に仮設住宅を訪れ、そこで生活しているカンボジア人の技能実習生のお話を聞くことができました。カレーの炊き出しのお手伝いをしたり、1件ずつ声をかけてカレーの炊き出し案内をしたり、被災者のお話を聞くなど、短時間ではありましたが、被災地の様子や被災者支援のことを深く考え、自分の地域で同じような状況になったときにどのような対応ができるだろうと考える1日でした。
能登の変わりやすい天候も体感し、自然の厳しさを実感しながら、帰路に就くころにようやく晴れ、素晴らしい立山連峰の景色が見えました。
被災後の大変な暮らしの中、笑顔で迎え入れてくださった皆さま、ありがとうございました。被災地の復興と被災された皆さまが1日でも早く日常を取り戻せますように。
多文化共生ネットワーク会議2024は、参加者も登壇者も外国ルーツの方が参加したまさに多文化共生の会議でした。バスの移動中も多くのコミュニケーションが生まれ、各地からの参加者同士のネットワークや横の繋がりも広がりました。「誰もが受け入れられる、暮らしやすい地域づくり」のために、今回できた横のつながりで、各地での情報共有や支援の広がり、地域格差が是正されていくように、このネットワークをもっと広げられるよう取り組んでいきたいと思います。
概要 |
日程:2025年1月24日(金)~1月26日 (土) |
会場:富山県民会館 |
参加者:19名 公開セミナー①オンライン参加者:35名 公開セミナー②オンライン参加者:46名 |
内容 | |
■1/24(⾦)18:00〜20:00 オープニング 〜共創の未来とやまとの合同交流会 | |
■1/25(⼟) | |
8:00〜12:50 フィールドワーク | |
・富⼭ムスリムセンター⾼岡 | |
・アレッセ⾼岡 | |
・太閤⼭こどもサポートセンター | |
13:00〜15:00 公開セミナー① | |
かめのり財団2025年度事業助成オンライン説明会〜「地域から考える多⽂化共⽣の推進とNPOの役割」〜 | |
進⾏:⽥村太郎(ダイバーシティ研究所代表理事) | |
1. かめのり財団による多⽂化共⽣ネットワーク事業の概要説明 | |
2. 2024年度助成先による活動報告 | |
髙橋早咲恵(北上市国際交流協会) | |
松元永⼰(特定⾮営利活動法⼈あいち かすがいっこ) | |
岸⽥尚⼦(にほんご豊岡あいうえお) | |
3. これからの取り組みに向けたディスカッション 活動報告3団体 | |
宮⽥妙⼦(NGOダイバーシティとやま理事/富⼭国際学院理事⻑/23年度助成先) | |
五⼗嵐ゆかり(聖路加国際⼤学⼤学院教授/コメンテーター) | |
4. かめのり財団25年度分助成プログラムの説明 | |
5. 質疑応答 | |
15:30〜18:00 公開セミナー② | |
「能登半島地震から⾒えた多⽂化共⽣の課題」 | |
進⾏:⽥村太郎(ダイバーシティ研究所代表理事) | |
1. 開会挨拶・趣旨説明 | |
2. 能登半島地震での外国⼈の被災状況について ⼭⽥和夫(NPO法⼈YOU-I グループ代表) | |
3. 外国⼈住⺠による取り組みについて | |
横地レジーナ(フィリピン出⾝・輪島在住) | |
サリム・マゼン(富⼭ムスリムセンター) | |
4. 9⽉⽔害を受けた今後の被災者⽀援について | |
⼭路健造(多⽂化⼈材活躍⽀援センター) | |
5. グループ討議 | |
6. 全体発表・まとめ | |
7. 閉会・情報提供等 | |
■1/26(⽇) 8:00〜16:00 オプションツアー 能登半島地震被災地(輪島市)への訪問と仮設住宅での⽀援活動 |
2023年度「多文化共生地域ネットワーク支援事業」実施報告はこちら