2025年度にほんご人フォーラム ベトナム中等日本語教師地域研修

 国際交流基金ベトナム日本文化交流センターとの共催で、ベトナムの中等教育機関の日本語教師を対象とした研修を、北部(ハノイ市:11月28‐29日)、南部(ホーチミン市:12月19日)、中部(ダナン市:12月28日)の3地域において実施しました。現地の日本語専門家による実施報告レポートをお届けします。

 


 

報告:国際交流基金ベトナム日本文化交流センター

蜂須賀真希子・三本智哉(日本語専門家)・藤長かおる(日本語上級専門家)

 

 この研修は、昨年度に引き続き「21世紀型スキル」の育成についての理解を深め、教師それぞれが授業案を考えられるようになることを目指したもので、テーマは「21世紀型スキルを育成する授業~生徒の主体的な学びを促進する~」とし、2025年10月にタイで実施されたにほんご人フォーラム2025(タイ)(以下、JSF2025)にベトナムから参加した教師の学びを共有することを目的のひとつとしました。

 

研修参加者集合写真(南部)

 

 参加者は北部14名、中部15名、南部23名の合計52名で、教育訓練省(MOET)が2018年に発表した「中等教育における日本語教育中学校、高等学校の第二外国語の日本語カリキュラム」に基づいた日本語教育の効果的な実施を共通目標として、21世紀を生きる生徒に必要な「自ら学んでいく力」をどう育てていくかに焦点を当て、次の2つを達成目標として定めました。

 

①生徒の主体的な学びをひきだす活動のアイディアを得る

②自分の授業での応用方法についてアイディアを持つ

 

 今回の研修の特徴は、JSF2025にベトナムから参加した教師、国際交流基金ベトナム日本文化交流センター(以下、JFVN)の専任講師及び日本語教育専門家(海外の日本語教師の研修や教育支援を行う専門家)が協力して、JSF2025で行われた生徒プログラムをベトナムの生徒用に加工して研修参加者に紹介し、その一部を体験してもらったことです。

 

 

 活動全体の流れを「知る」、「深める」、「体験する・ふれる」、「まとめる、伝える、ふりかえる」の4パートに分けて説明したのち、JSF2025に参加したJFVNの専任講師と教師がメインティーチャーとなって活動を紹介しました。そして、パートごとにどんな活動が生徒の主体的な学びを引き出していたか、グループで話し合いました。さらに、「深める」の部分に焦点をあて活動分析を行った後、ベトナムの中等教育で使用されている教科書から練習を取り上げ、それを生徒の主体的な学びを引き出す活動とするにはどうしたらいいかを話し合い、アイディアを共有しました。体験、振り返り、分析、教室活動のアイディア作成のすべての段階において、教師同士の話し合いの機会を多く設けることにより、教師の学び合いの場になることを重視しました。

 

 普段使用している教科書をこれまでと違った視点でとらえ直すことは難しいものですが、経験が長い教師の場合は、お互いに指摘し合いながら実際の授業で活用できそうな具体的な活動計画を作り上げていました。教科書では形容詞を使った「デパート比較」の練習であったものが、ベトナムの屋台比較になったりするなど生徒の興味を大切にしている様子も見受けられました。その一方で、単純なドリル練習からなかなか抜け出せないグループもありましたが、そのような教師にとっては、他の教師の活動アイディアを聞く機会を得ることで新しい発見があり、教師の役割を再認識する大きなきっかけになったようです。

 

活動体験(中部)

 

活動の振り返り(南部)

 

アイディアの共有(北部) 

 

 

 アンケートの「授業(活動)の進め方がよくわかった」「具体的な内容の研修であったので、学んだ知識を活かして生徒が興味を持てる授業を設計できると思う」「教案を作成する際にどのような内容を準備する必要があるのか、そしてその内容をどのように興味深く伝えるかという方法について理解できた」などのコメントからも、参加者の満足が感じられました。また、研修の内容だけでなく、「日本語でのプレゼンテーション力を鍛える良い機会になった」との意見もあり、対面で教師が集まって研修を行う意義も確認できました。

 

 研修には、国際交流基金の日本語パートナーズプログラムでベトナムの中等教育機関に派遣されている日本人もオブザーバー参加し、授業体験をしたり、ベトナムの先生方の活動アイディア発表を聞いたりしました。いつもとは違う先生方の姿や活動に触れ、ベトナムの日本語教育の豊かさを感じることができたようでした。

 

 研修に参加された先生方が、この研修に参加することで新たな発見をし、教師としての学びや成長につながることを期待しています。そして、ベトナムの先生も生徒も、日本語を楽しみながら学習できる教室が増えることを願います。

 

 最後になりましたが、昨年度に引き続き、本研修の実施を支援してくださったかめのり財団に、心から感謝申し上げます。

 


 

【実施概要】

 

日程

北部:2026年11月28-29日

南部:2026年12月19日

中部:2026年12月28日

場所ハノイ市、ホーチミン市、ダナン市
対象ベトナム人中等日本語教師 計52名(北部14名、中部15名、南部23名)
目的
  • にほんご人フォーラム2025(タイ)にベトナムから参加した教師の学びを、各地域の教師に共有する
  • ベトナム人日本語教師リーダー層の育成と地域の教師ネットワーク形成を促進する