にほんご人フォーラム2019 実施概要

「にほんご人フォーラム2019」(Japanese Speakers’ Forum2019) 概要

 

1.主催独立行政法人国際交流基金、公益財団法人かめのり財団
2.実施期間教師プログラム 2019年8月2日(金)~8月11日(日)(10日間)
生徒プログラム 2019年8月2日(金)~8月9日(金)(8日間)
3.場所Hotel Grandvrio City Danang (ベトナム、ダナン)
4.参加国ベトナム、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、日本
5.参加者(1)東南アジア5か国で日本語を学んでいる高校生と外国語学習、東南アジアとの交流に関心を持つ日本の高校生、各国4名、計24名(2)東南アジア5か国の中等教育機関の日本語教師 11名

 


 

ASEAN5カ国(インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア)の中等教育機関で日本語を教えている教師と日本語を勉強している高校生、そして日本の高校生が、ともに学び交流する「にほんご人フォーラム」。今年は「ふるさと」をテーマにダナンで8月2日(金)から8月9日(金)まで開催され、日本からは4名の高校生が参加しました。

 

【生徒プログラム】

「ふるさと」、これが今回のにほんご人フォーラム生徒プログラムのテーマでした。ふるさと=自分が拠って立つはじまりの場所を見つめ直すことを通して参加生徒が自分自身を知り、にほんご人として自分を、そして他者を尊重できるようになってもらいたいと考えたからです。

参加生徒24名は6か国6人の多国籍グループで、事前課題である家族や友人へのインタビューとその共有、ホイアンでのフィールドワーク、にほんご人の先輩との交流等の活動に取り組みました。これらの準備・実施・まとめの全ての過程で、母語の違うメンバー同士、意見を伝え合い、方向性を決めていくのは困難もありましたが、生徒は日毎にチームワークを向上させ、各活動からそれぞれのグループが考えた「ふるさと」を日本語の劇にまとめ上げ、堂々と上演することができました。それだけではなく、文化の違いを受け入れること、コミュニケーションとは何かを学び、勇気や自信、そして新たな「ふるさと」とも言える友情を得たようです。生徒の活動をサポートした9名のベトナム人教師にもまた、ファシリテートとは何か、チームワークの大切さ、生徒を信じること等、多くの学びがありました。今回のプログラムで得たものを足掛かりに、参加者の一人一人がより広い世界へと羽ばたいていくことを願っています。

報告:前・国際交流基金ベトナム日本文化交流センター 日本語専門家 中尾菜穂

 

【教師プログラム】

今回のにほんご人フォーラムの教師プログラムは「はじまりの場所」をテーマとし、プログラムを3つの「はじまりの場所」になるように考えました。1つ目はこれからを生きる若者たちに必要な能力―21世紀型スキルを育てるにほんご人フォーラムの目的、2つ目は教科書を使った授業を考える授業の基本、3つ目は生徒を見て、気づいたことを伝える教育の原点です。

この3つの「はじまりの場所」を考えるため、参加教師11名は21世紀型スキルとは具体的に何なのかを生徒を観察して発見し、21世紀型スキルとは何かを話し合い、劇を制作して、なぜ21世紀型スキルがこれからの社会に必要なのかを生徒に伝えました。そして、観察で発見した参加した生徒一人ひとりの努力と長所をメッセージカードに書いて手渡しました。授業実践の面でも、これまで実施した授業活動の中で21世紀型スキルを育成する活動を紹介して改善案を検討しました。そして、それを修正したうえで、新たな授業活動を考えました。ここで考えた授業活動は、事後課題として参加教師が帰国後それぞれの授業で実践することになっています。

参加教師は積極的にプログラムに参加し、互いに大いに刺激を受けたようです。今回のにほんご人フォーラムが参加教師の新しい「はじまりの場所」になったことを期待しています。

報告:前・国際交流基金ベトナム日本文化交流センター 日本語専門家 黒田朋斎

(「かめのりコミュニティ No.32 2019年11月」より再録)