にほんご人フォーラム2017 実施概要

東南アジア5カ国(インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナム)の中等教育機関で日本語を教えている教師と日本語を勉強している高校生、そして日本の高校生が、ともに学び交流する「にほんご人フォーラム」。今年は、国際交流基金日本語国際センター(埼玉県さいたま市)で2017 年8月18日(金)から始まり、教師は14日間、高校生は10日間のプログラムに参加しました。


日本語教師たちは

参加教師13 名のそれぞれの国では、これからの時代を担う若者たちにとって必要な能力を育てることが教育政策上重視されてきており、このため外国語教育のアプローチの転換が図られています。教師たちは、そのような自国の新しい教育方針を踏まえて来日前に作成してきた授業案を、他国の教師と何度も議論して改善し「実験授業」の形で実践しました。すべての教師が国ごとに交代で授業を行い、担当以外の教師もファシリテーターやサポート役となり、全教師が一緒にすべての授業を体感しました。そして授業後は時間をかけて振り返り
をおこない、具体的な改善につなげました。また、昨年に引き続き新しい能力を評価する方法についても検討を重ね、「Collaboration(協働)」と「Creativity(創造性)」の評価表を作成し、生徒たちの活動を実際に評価してみ
ました。
教師たちはそれぞれの経験とアイデアを持ち寄って議論し、悩みを共有し、お互い励ましあいながら14 日間を過ごしました。この経験と成果をもとに次のステップに進んでいくことが期待されています。

 

高校生たちは

東南アジア5カ国と日本から4名ずつ、総勢24名の高校生たちは「いろいろな人がいることを楽しもう!」という共通課題について考えて発表しました。寝食を共にして、協働で課題に取り組み、和太鼓や浴衣の着付けなどを一緒に体験して仲良くなり、意見を出し合えるようになりました。言いたいことがうまく伝わらず、悔し涙を流す生徒もいました。「いろいろな背景や価値観をもつ人々と、うまくやっていくにはどうしたらよいか」を一生懸命考える10日間となりました。今回も、日本の大学生4名がファシリテーターとして生徒たちをあたたかくサポートしました。発表会では、自分たちで考えた「いろいろな人が一緒に楽しむための取り組み」について日本語で披露。「ワールドキャンプ」「カルチャーダンス」といったテーマで、会場にいたみんなを巻き込む楽しいパフォーマンスもありました。
今回で5回目となるフォーラムですが、それぞれの国に持ち帰り共有されて、授業等の現場で成果が生かされることを期待しています。

 

報告:国際交流基金 日本語国際センター 岸本由紀子

(かめのりコミュニティ No.26 2017年11月より再録)