【報告】中等教育日本語教師リーダー研修2023(ベトナム)ー4年ぶりの対面研修を実施ー

 (独)国際交流基金ベトナム日本文化交流センター(JFVN)との共催事業として、2021年と2022年の過去2年間にわたり、コロナ禍でも自宅から参加可能な「日本語ビデオコンテスト」を実施しました。そして今年度、ついにベトナムでも対面活動が本格的に再開し、この夏、ベトナム各地の日本語教師22名が参加する2泊3日の「中等教育日本語教師リーダー研修2023(ベトナム)」をフエにて実施しました。企画より参加したJFVNの日本語専門家によるレポートをお届けします。

 


 

報告:国際交流基金ベトナム日本文化交流センター

藤村春菜(日本語指導助手)

藤長かおる(日本語上級専門家)

 

 中等教育機関で活躍する全国のリーダー層のベトナム人教師を対象に、古都フエで2泊3日(2023年8月7日~9日)の研修を実施しました。この研修は学校の夏休み期間を利用して行ったもので、全国規模の研修実施は4年ぶりになります。会場のあちこちから、研修に参加した教師22名(北部9名、中部6名、南部7名)の「久しぶり!」という声が聞かれ、ベトナムの日本語教育を支えてきた教師の絆を感じさせられました。

 

 

 研修テーマは「中等日本語教育のこれから~経験から学ぶ~」で、(1) これまでの実践を共有しお互いに学び合う、(2) これからの自分の授業で取り入れたいことを見つける、(3) 自身が教えている地域の教師に今回の研修の内容をどうやって伝えるか考える、という3つを目的とした実践報告中心の研修プログラムです。

 

 セッションは「動機づけ」「言語知識とコミュニケーション」「協働」「異文化理解」の4つで、参加者が実践を報告したり、教師役と生徒役になって教室活動を体験したりしました。また、アイスブレイクもかねて、いろいろなタイプのランゲージ・ゲームも取り入れました。実践報告を聞いたあとは、それぞれの活動の良かったところをふり返り、自分の授業にどのように取り入れるかを、個人やグループで考えました。また、2日目の午後は、Edcamp*の方法を参考に、小グループでの実践報告と意見交換を行いました。どの報告にも、先生方の日頃の工夫や、教室活動のアイディアが感じられ、活発な意見交換につながりました。

 

* Edcampとは「Education camp」の略称で、参加者が主体となって、セッションごとに話し合う内容を決定し、話し合いの進行を行うものです。詳しくは「Edcamp Japan」のwebサイト(https://www.edcampjapan.org/)をご参照ください。

 

 

 最終日のふり返りセッションでは、1日目と2日目の実践の共有を踏まえて、「これから自分の授業でやってみたいこと」を考え、グループで共有しました。多くの先生が、ほかの先生の報告から自分がやってみたいことを具体的に見つけ出したようでした。さらに、研修の最後には、今回学んだことを各地域に持ち帰ってほかの教師にどのように伝えるかを、北部、中部、南部の地域ごとに話し合いました。

 

 

 参加者アンケートには「経験や教材について、ほかの先生と意見の交換ができてよかった」「授業で使える新しいアイディアを学ぶことができた」といった声が多数あり、日頃の実践を他の教師と共有することで自分がやってきたことに自信を持つことができ、それに加え、ほかの教師から新たな視点を得ることができたのだと思います。研修を企画したJFVNの専門家として、ベトナムの先生方の力を感じる機会にもなりました。研修に参加した先生方が、各地域で今後ますます活躍をされることが楽しみです。

 

 最後になりましたが、本研修の実施を支援してくださったかめのり財団に、ベトナムの教師からの心からの「ありがとう」をお伝えしたいと思います。