かめのりフォーラム2024 4年ぶりに開催しました!

 2024年1月12日(金)、「かめのりフォーラム2024」をアルカディア市ヶ谷で開催しました。コロナ禍を経て4年ぶりの開催となった今回のフォーラムには、2023年度のプログラムに参加した高校生・大学生をはじめ、大学院奨学生、弊財団にご協力くださる方々など、109名が参加しました。

 

 


 

第1部 かめのりフォーラム2024

主催者挨拶・来賓挨拶

 

 初めに主催者挨拶として登壇したのは、弊財団理事長の木村晋介です。木村は「世界の課題解決のためには、時間が掛かっても人材育成が有効」として、弊財団が2006年から約2600人の若者を支援してきたこと、プログラム卒業生が世界各地で活躍していることをご紹介し、皆様のご支援に感謝しました。

 

 続いて、独立行政法人国際交流基金 理事 鈴木雅之様からご祝辞をいただきました。鈴木様は、国際交流基金様と弊財団が共催する「にほんご人フォーラム」が10年以上の積み重ねの結果、現地のイニシアティブで開催される段階に至ったことをうれしく思っていると話されました。また、2023年度に共催した「日ASEANユースフォーラム Take Actions for Social Change(TASC)2023」では、国境・文化を超えてともに取り組む若者のエネルギーに感動したと話され、今後の弊財団に対しても期待の言葉をいただきました。

 

かめのり賞表彰式、受賞者による活動紹介

 

 かめのり賞表彰式は、評議員でかめのり賞選考委員でもある宮嶋泰子の司会で進行しました。受賞された 4 団体には、かめのり財団創設者で評議員の康本健守より、記念のトロフィーと副賞の活動奨励金が贈呈されました。

 

かめのり大賞 草の根部門 特定非営利活動法人アジア人文文化交流促進協会

アジア人文文化交流促進協会様は、外国人住民が地域に住む「おとなりさん(日本人ボランティア)」とペアを組んで交流する「おとなりさん・ファミリーフレンド・プログラム」を行っています。

 

理事・事務局長 楊淼様

「外国人が日本社会の一員になるにはどうすればいいかを考え、地道に活動しています。日本で過ごすことを選択した人にとって、いかに地域に馴染み、人間関係を築けるかは大事です。ですが、外国人と日本人が自然につながれる機会はまだ少なく、このプログラムを行っています」

 

かめのり大賞 人材育成部門 認定特定非営利活動法人フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)

フィリピン日系人リーガルサポートセンター様は、フィリピン残留2世の国籍問題の解決を目指して活動されてきた団体です。近年は、フィリピン日系人会と協力し、若手日系人の人材育成にも注力しています。

 

代表理事 河合弘之様

「残留2世の平均年齢は83歳。問題が解決する前に消滅しそうな状況です。現在は、国籍問題に引き続き取り組むと同時に、若手日系人の人材育成にも取り組んでいます。フィリピン日系人の若者が、日本に親しみ、貢献してくれる社会を作っていきたいと思います」

 

さきがけ賞 特定非営利活動法人YouMe Nepal 

YouMe Nepal(ユメネパール)様は、ネパールの子どもたちに教育支援を行っています。2011年から学校を作り始め、現在は2校に400名以上の生徒が通っています。

 

代表 シャラド ライ様

「僕らの夢を応援していただき、ありがとうございます。私は母国、ネパールが大好きです。国費留学生に選んでもらったことで私の人生は変わりました。国に恩返しをしたい思いで、学校を作りました。将来は保育園から大学まで作り、国のリーダーを育てたいです」

 

特別賞 認定特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会

シャプラニール=市民による海外協力の会様は、1972年、独立戦争直後のバングラデシュにおける農村支援から始まった団体です。バングラデシュ、ネパール、日本で活動しています。

 

代表理事 坂口和隆様

「市民の立場から貧困のない社会を実現することをモットーとし、現地の団体とともに活動しています。活動の一つとして、バングラデシュで家事使用人として働く少女に向けた取り組みをしており、地域や雇い主、行政に対する働きかけも行っています」

 

 最後に宮嶋評議員は、「以前のかめのり賞は、日本から海外に対し活動する団体が中心でしたが、今回は『自分の国を自分たちで何とかしたい』と考える方々の受賞が印象的でした」と話しました。

 

プログラム参加生による体験発表

 

 続いて、2023年度のプログラムに参加した生徒が体験発表を行いました。

 

 「日ASEANユースフォーラムTASC2023」の参加生は、文化や着眼点の違いがある中、話し合いには苦労したと振り返ります。非英語圏同士での英会話にも苦戦しましたが、お互いを尊重する大切さを学んだと話します。「国際的な社会課題の理解は、座学ではできない経験だった」と結びました。

 

 「かめのり未来をつくるリーダーシップ・プロジェクト」の参加生は、全員発揮型のリーダーシップを学び、自身のリーダーシップを見つめなおしたいと考え、参加したと言います。「プログラムを通じて、自らの新たな一面に気づいた。全員がリーダーシップを発揮できるよう働きかけるなど、今後の学びに生かしたい」と話しました。

 

 「かめのりスクール2023」参加生は、英語でのコミュニケーションに苦労したそうです。恥ずかしさを捨て、ジェスチャーで意思疎通ができたことを、「感動したし、忘れられない思い出」と振り返ります。参加後は、校内で有志団体を立ち上げ、地域活動に参加。プログラムを通じて世界が一気に広がったと話しました。

 

 「かめのりカレッジ2023」参加生は、プログラムの講義内容が衝撃的だったと言います。これまで受けてきた授業とは異なり、講師の話をただ受け入れるのではなく、自ら発言しないと講義が進まなかったからです。「自分はこれまで受け身だったが、人はいつでも変わることができる。自分が変わることで周囲を変えられるんだと学んだ」と話しました。

 

ゲストスピーチ 『新しい教育 ~ことばの違う2つの世代をつなぐ~』

 

 ゲストスピーチでは、産業能率大学 経営学部教授 高原純一先生にご登壇いただきました。「新しい教育 ~ことばの違う2つの世代をつなぐ~」として、高原ゼミ学生 奥瀬穂乃花さん、前田恒輝さんとのディスカッションは、壇上での模擬ゼミのような雰囲気でした。

 詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

 

第2部 懇親会

奨学生プログラム参加生の紹介、海外の参加者からのビデオメッセージ投影

 

 第2部の懇親会では、弊財団創設者で評議員の康本健守がご挨拶し、一般社団法人FCC GROOVE 代表理事 横田秀策様にご祝辞をいただきました。

 

 横田様は、「近年注目を浴びている『ウェルビーイング』の実現のためには多様性をいかに受け入れるかが重要」と話し、弊財団の事業を「ダイバーシティを前向きに実現していく取り組み」とご評価くださいました。そして、「より良い社会づくりに一緒に貢献していきたい」とエールをいただきました。

 

 プログラム参加生紹介の時間には、「日ASEANユースフォーラムTASK2023」参加者、大学院留学アジア奨学生および奨学生OB、第1部にも登壇したプログラム参加者3名が登壇し、自己紹介や今後への意気込みを話しました。海外の参加者からのビデオメッセージ投影もあり、交流を深めました。

 

 最後に、弊財団常務理事の西田浩子よりご挨拶し、4年ぶりのフォーラムへのご来場を感謝するとともに、草の根の人材育成をアジアで継続していくため、変わらぬご支援をお願い申し上げました。

 

 

執筆:近藤圭子