【報告】にほんご人フォーラム2026(マレーシア)~中等教育日本語教師キャンプ~
2026.10.01
国際交流基金クアラルンプール日本文化センターとの共催で、「にほんご人フォーラム2026(マレーシア)~中等教育日本語教師キャンプ~」を実施しました。東部、中央部、北部に分かれての集合研修により、「21世紀型スキル」の理解を深め、実践に取り組みました。
現地の日本語専門家による実施報告レポートをお届けします。
対象者:マレーシア中等学校教師
目的:日本語教授スキルおよび日本語能力の向上と維持
| 日程 | 場所 | 参加者 |
| 2026年8月4日(火)~6日(木) | 東部:クアンタン | 16名 |
| 2026年8月18日(火)~20日(木) | 北部:ペナン | 20名 |
| 2026年9月22日(火)~24日(木) | 中央部:クアラルンプール | 40名 |
報告:国際交流基金クアラルンプール日本文化センター
日本語上級専門家 三矢 真由美

マレーシアの中等教育の指針となる「Malaysia Education Blueprint 2025-2036」では、21世紀型スキル育成の他に教師が学び続ける大切さについても触れられています。学習者が変わるためには教師も変わり続けなければいけないということです。そこで今回の集合研修では「生徒の目線」と「教師の目線」を全体の大きなテーマとし、21世紀型スキル、自律学習、異文化理解能力などに焦点を当てた様々なセッションを行いました。

生徒の気持ちを理解するには生徒と同じ経験をしてみることが一番です。そこで様々な活動を生徒目線で実際に体験してみました。ここでは2つご紹介します。
1つ目は、ハンバーガーパラグラフを使った自己紹介です。ハンバーガーパラグラフとは、いろいろな具材がバンズではさまれているハンバーガーのイメージで文章を組み立てる方法です。これを利用して自己紹介文作りを体験しました。冒頭と終わりは同じですが、中身は参加者によって異なる個性豊かな自己紹介ができあがりました。
2つ目は、アクティブラーニングのセッションで行った昔話を登場人物の目線から書き直すというワークです。題材として使ったのは桃太郎です。昔話は中立的な立場から描かれますが、もし主人公の桃太郎が「桃太郎」を書いたらどうなるか、鬼が書いたらどうなるか、それぞれの立場や気持ちを考えながら書き直していきました。物事を多角的に見る能力を養う活動です。

マレーシアでは21世紀型スキルを授業に取り入れている先生はまだ多くありません。これは取り入れ方がわからないという問題の他に、教師が未来志向の学習観を持てないからではないかと考えました。そこでBritish Councilが開発した継続的職能開発 (CPD)の枠組みを使い、教師としての自分をふりかえるセッションを行いました。
セッションの冒頭で日本語教師になるためにはどんなことを学ばなければいけないと思うかを自由に書き出してもらったところ、日本語、日本文化、教授法、評価、21世紀型スキルなどと並んで社会的スキル、ネットワーキングなどが出ました。仲間と協力していくことの大切さを先生たちが実感していたのはとても興味深かったです。

最後に研修後の先生方の声を少しご紹介します(報告者訳)。
「私たち教師はできることはもう全部やっていると思いがちですが、教育の世界は常に変化していて今後も生徒たちを支えていくためには最新の知識や情報を身につけていく必要があります。」
「これまでは教科書中心の教え方に頼りがちでしたが、研修に参加して体験型のアクティビティの重要性を強く実感しました。研修で学んだことを実践し、生徒がより楽しく主体的に学べる環境を作りたいという意識に変化しました。」
生徒の目線と教師の目線、どちらも大切だということが伝わったようです。こういう考え方ができる先生がいる以上、マレーシアの日本語教育は将来もきっと大丈夫だと感じました。
最後に集合研修をご支援いただいたかめのり財団に心より感謝申し上げます。
