【報告】APAC Green Innovator Academy
2026.02.13
(一社)Green Innovationが主催する、アジア太平洋地域における脱炭素社会及びGXの実現を担う次世代のグリーン・イノベーター人材の育成を目的とした実践形式の国際プログラム「APAC Green Innovator Academy」では、2025年度、かめのり財団との共催により、学生プログラムの一環として海外フィールドワークを実施しました。参加した大学生による報告レポートを掲載します。
原体験から行動へ
和田美潤
訪問先:フィリピン
本プログラムは、2030年までの脱炭素社会実現を目指し、国内外の学生や社会人がGXの最先端知識とイノベーション手法を学ぶものです。第5期ではASEAN や香港のユース組織と連携し、分野や国境を越えた対話を通じて環境課題の解決策を探求しました。
私が本アカデミーへの参加を決意した理由は、これまで「環境問題」に対して抱いていた漠然とした興味を行動に移し、新しい分野に挑戦したいと考えたからです。 また、フィールドワーク地としてフィリピンを選択したのは、中学生の頃に同国を訪れた際、スラム街の光景を目にし、経済発展の裏側にある社会課題に強い関心を抱いた原体験があったためです。大学では言語学を専攻しており、環境分野は私にとって未踏の領域でしたが、かつて抱いた好奇心を軸に、今の自分が国際社会にどう貢献できるかを確かめるべく参加を志望しました。
プログラム期間中、最も苦労したのは、周囲の参加者と比較して圧倒的に環境分野の専門知識が不足していたことです。議論の初期段階では、高度な専門用語が飛び交う中で思うように意見を深められず、もどかしさを感じる場面が多々ありました。 しかし、私はこの壁を「自分なりの視点と原体験」を強みに変えることで乗り越えました。かつてセブ島で目にしたスラム街の景色や、先進国と発展途上国の格差に対する問題意識を常に立ち返るべき軸とし、知識を補うために徹底的に周囲との対話を行いました。
専門知識は後から書籍で補うことができますが、五感を通じて得た現場の感覚は唯一無二であると開き直り、フィールドワークでは現地の方々の話を真摯に聞き、ゼロウェイストに向けた取り組みを自分の目で確かめることに注力しました。結果として、知識の欠如を好奇心と行動力でカバーし、独自の視点から課題にアプローチすることができました。

本プログラムを通じて得た最大の収穫は、環境問題に対する「圧倒的な当事者意識」です。現地での体験を通じ、課題の切迫性を肌で感じたことで、問題を「知っている」状態から「向き合い、行動する」必要があるという強い危機感を持つに至りました。 また、言語学専攻の私にとって、異なる専門性を持つ同世代が環境問題に真剣に取り組む姿を目の当たりにしたことは、計り知れない刺激となりました。国や文化、背景が異なる相手の価値観を否定せず、一つの視点として受け入れる柔軟性が、信頼関係を築く鍵であるという学びは、今後のグローバル社会を生きる上での指針となりました。

今後は、このプログラムで得た好奇心と知見を一過性のものにせず、仕事を通じて社会に還元したいと考えています。特に、環境課題に積極的に取り組む組織において、自分自身の存在意義を見出し、実践的な貢献を重ねていこうと考えております。机上の空論ではない、現場の実感を伴った「対話」と「行動」を大切にしながら、持続可能な社会の実現に邁進してまいります。
GIAでの挑戦と学びから得た指針
日山拓海
訪問先:香港
大学4年生となり、「就職活動」という一つの節目を終えた私は、「学生生活の最後に、将来に繋がる経験を得たい」という強い思いから、かめのり財団に連絡しました。そこで、「Green Innovator Academy(GIA)」というプログラムを紹介していただき、将来の仕事に深く関わる「モビリティ」や「カーボンニュートラル」という分野について、知識だけでなく、実践を通じて学びを深めたいと考え、参加を志しました。
期間中には、私が参加した香港を始めとした国内外でのフィールドワーク、最前線で活躍される専門家の方々との対話、そして国境・世代・分野を超えた多様な仲間との学び合いの機会があり、常に刺激に満ちた充実した時間となりました。

一方で、最も困難だったことは、「Final Pitch」に向けた発表準備です。私は、同じフィールドワークに参加したメンバーと共に、香港を舞台とした「循環型経済」の実現を目指したビジネスプランの構築に取り組みました。多様なバックグラウンドを持つメンバーとオンラインで準備に取り組んだり、メンバー全員がビジネスプランの作成に初めて挑戦したりと、手探りの中で最善を尽くして試行錯誤する日々が続きました。
その中で、「強みを活かしたチームワーク」を意識し、定期的なミーティング、各自の強みを最大限に活かした役割分担を徹底し、常に「現実性・具体性」を追求した議論を行いました。最終的に、チームとして「IoTを活用したビジネス」を提案することが出来、大きな達成感を感じました。

このプログラムを通じて、同じ志を持つ仲間と出会えたことは一生の財産になったと共に、GIAが大切にしている「Be the Change as Innovator(革新者として自ら変化を起こす)」という姿勢は、春から社会人として歩み出す私にとって揺るぎない指針ともなりました。
最後に、中高生時代から一貫して私の挑戦を温かく見守り、成長の場を与えてくださったかめのり財団の皆様に、心より深く感謝申し上げます。これまで得た学びと経験を糧に、今度は私が社会に還元できる人材へと成長したいと考えています。
【概要】 APAC Green Innovator Academy
APAC地域において脱炭素社会の実現を牽引する次世代のグリーン・イノベーター人材の育成を目的とした実践形式の国際プログラム。2025年度はASEAN地域、香港、日本の9カ国から約40名の大学生・大学院生を選抜し、多様な文化背景を持つ同世代との対話や、アジア各国が抱える環境課題の解決の探求を通じて、分野・世代・国境を越えてGXを推進する人材の育成に取り組みました。
フィールドワークの実施にあたっては、各国が抱える環境問題をテーマとして設定。各地域における環境課題の現地視察に加え、自治体、企業、市民、国際機関等との対話を通じて、課題の背景や構造への理解を深め、実践的な学びを促進しました。
主催:一般社団法人Green Innovation
共催:かめのり財団(学生プログラムにおけるフィールドワークの実施)
期間:2025年9月20日~11月30日
実施方法・開催場所:ハイブリッド形式
フィールドワーク訪問先:
香港 日程:2025年9月21日~24日 テーマ「サーキュラー・エコノミー」
日本(長野県松本市) 日程:2025年9月28日~10月1日 テーマ「市民気候アクション」
フィリピン 日程:2025年10月6日~8日 テーマ「ゼロ・ウェイスト」
タイ 日程:2025年10月12日~15日 テーマ「サスティナビリティのためのDXとAI」
公式Instagram:green_innovator_academy