かめのりフォーラム2026開催レポート

 2026年1月9日(金)、「かめのりフォーラム2026」をアルカディア市ヶ谷で開催しました。今回のフォーラムでは、第19回かめのり賞表彰式、2025年度プログラム参加生による活動報告、多文化共生地域ネットワーク支援事業助成の実践団体である「みんなのVamos Papear」による報告を実施しました。会場には、2025年度のプログラムに参加した高校生や大学院生をはじめ、弊財団にご協力くださる方々など、135名 が集まりました。


執筆:近藤圭子

 

第1部 かめのりフォーラム2026

主催者挨拶・来賓挨拶

 

 

 冒頭、弊財団理事長の宮嶋泰子より、新年のご挨拶および創立20周年を迎える2026年への思いを申し上げました。宮嶋は、世界情勢が混乱する今、日本とアジア・オセアニアの若い世代の交流による相互理解の重要性が増していると指摘。原点に返って事業に取り組みたいと話しました。また、第3回かめのり賞受賞者である大森和夫・弘子ご夫妻による著書『世界の日本語学習者が書いた“素顔のニッポン”』を読み、弊財団のモットー「社会から与えられたものを社会に還元せよ」の意義を再確認したと話します。会場にいるプログラム参加生や奨学生の皆さんに向けて、「社会のためになることを考え続けてほしい」と語りかけました。

 

 

 続いて、独立行政法人国際協力機構(JICA)理事 小林広幸様よりご祝辞をいただきました。小林様は、JICAの国際協力は双方向の学び合いであり、参加者が新しい価値観や視点を得る機会となっていると話されました。また、弊財団との連携により、昨年8月に富山から6名の高校生をインドネシアに派遣した事例を紹介し、グローバルな視点を持った人材育成と、継続的な連携への期待を示されました。

 

第19回かめのり賞表彰式、受賞者による活動紹介

 

 かめのり賞表彰式は、かめのり財団創設者で評議員の康本健守がプレゼンターを務めました。受賞した3団体には、記念のトロフィーと副賞の活動奨励金が贈呈されました。

 

かめのり大賞 草の根部門 一般社団法人福岡国際市民協会(FIRA)

 

 福岡国際市民協会様は、福岡で子育てをする外国にルーツを持つ保護者や家族が中心となって設立した団体です。外国人として暮らす中で直面した言語・文化・制度の壁、そして孤独と向き合った経験を持つメンバーが、地域住民、研究者、日本語教師など多様な仲間と協力し、今まさに困難に向き合う外国人家庭とその子どもたちに寄り添って支援を行っています。

 

代表 ブイ テイ トウ サンゴ様

 「福岡多文化教育スペース、こども食堂、外国人向け情報提供などの活動を行っています。多様なルーツを持つ子どもたちが継承語学習や文化体験を通じて学び合う場です。今後も、行政や学校との連携を高めて事業を発展させていきたいと考えています」

 

かめのり大賞 人材育成部門 特定非営利活動法人e-Education

 e-Education様は、「最高の教育を世界の果てまで」をミッションに、2010年から途上国の教育格差解消に取り組む団体です。2024年からは日本でも活動を開始し、海外にルーツのある子どもたちに算数のオンライン支援などを行っています。

 

代表 三輪開人様

 「バングラデシュでは映像授業により子どもたちの教育を支援してきました。現在、日本の海外ルーツの子どもたちに対し、途上国の教師が母語で算数を教える事業を推進しています。いわば『国際協力の逆転』です。全国の自治体に届けるまで挑戦を続けます」

 

かめのりさきがけ賞 福田浩之様

 かめのりさきがけ賞は、個人での受賞となりました。福田浩之様は、フィリピン大学大学院で地域開発学を専攻し、10年間に渡ってフィリピンで路上生活する若者たちの協同組合結成を牽引。当事者が教育活動や政策提言を担う仕組みを築き、現在は岐阜県で外国ルーツの若者への支援活動を展開しています。

 

福田浩之様

 「フィリピンでは路上の子どもたちとの演劇活動や、パン作りの協同組合を形にしてきました。現在は岐阜県可児市でフィリピンルーツの若者の居場所『チルカフェ』を運営しています。これからも『同志は誰か』を問い続け、自分自身も変革の『資源』にして活動を続けていきます」

 

 

プログラム参加生による体験発表

 

 続いて、2025年度のプログラムに参加した生徒が体験発表を行いました。

 

 

 タイで行われた「にほんご人フォーラム2025」では、4名の高校生がASEAN5か国の日本語学習者と、ごみ問題をテーマにした課題に取り組みました。4名は、言語の壁を乗り越えて、失敗を恐れず挑戦する姿勢を学んだことを発表。「人を助けられる人になれるよう、様々なチャレンジをしていきたい」「国際的な仕事への関心が生まれた」と話しました。

 

 

 「高校生カンボジアスタディツアー」の参加生の一人は、教育への関心から参加を決めたと話します。現地では子どもたちの学習への熱意を目の当たりにしました。「発展途上国への先入観があったと気づいた。教育は人生を変えると実感。行ってみないとわからないことがある。これからも挑戦を続けたい」と決意を口にしました。

 

 

 「高校生を対象とした国際協力現場体験学習(富山市)」は、初めての実施でした。6名の参加生はインドネシアで国際協力の現場を訪問しました。登壇した2名は、現地の小学生による環境活動に感銘を受け、同時に日本の現状にショックを受けたと言います。「国際協力は与えることではなく、現地に適した自立を助けることだと気づいた」と話しました。

 

 

 「Kamenori Youth Connect: Philippines 2025」も、初めて実施したプログラムです。参加生の一人は、言語への興味から参加したと話します。価値観の違いや生活環境の変化に苦労しながらも、フィリピン人参加者の気遣いにも支えられ、「挑戦することの大切さ、コミュニケーションを取ることの大切さ、何があっても大丈夫だと思えるマインドを得た」と話しました。‎

 

 

 「Green Innovator Academy」は、弊財団が今年度初めて共催したプログラムです。脱炭素社会への関心から参加したという大学生の参加生は、多様なバックグラウンドを持つチームでビジネスプラン作成に挑戦しました。「初めてのことで苦労した」と話しますが、強みを活かしたチームワークで困難を克服。新年度に就職を控え、社会人としてイノベーターを目指す決意を表明しました。

 


多文化共生地域ネットワーク支援事業助成 実践団体からの報告

 

 

 多文化共生地域ネットワーク支援事業助成の実践団体である「みんなのVamos Papear」の横田シルビア様、坂本裕美様より、実践報告としてお話しいただきました。「みんなのVamos Papear」は、南米ルーツの外国人が多く住む群馬県太田市で、児童・生徒への学習支援、支援者の育成、若者の居場所づくりなどに取り組む団体です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

 

第2部 懇親会

奨学生・プログラム参加者自己紹介、かめのり財団事業紹介

 

 第2部の懇親会では、弊財団創設者で評議員の康本健守がご挨拶し、独立行政法人国際交流基金 理事 下山雅也様に乾杯のご発声をいただきました。

 

 

 下山様は、「情熱に溢れていて、元気をもらった」と第一部を振り返り、「高校生や大学生の皆さんが経験を通じて自信を得たことが伝わってきた」と話されました。また、弊財団と共催する「にほんご人フォーラムinバンコク」に参加した感想を話され、国際交流基金による「にほんごパートナーズ」事業を紹介されました。

 

 

 プログラム参加生紹介の時間には、青少年プログラム参加者、大学院留学アジア奨学生および奨学生OBOGが登壇し、自己紹介や今後への意気込みを話しました。

 

 最後に、弊財団常務理事の西田浩子より挨拶があり、今年度は多数の海外派遣事業を実施できたことへの感謝とともに、2026年が新たな飛躍の年となるよう一層尽力していく旨を述べ、閉会となりました。