【報告】多文化共生の担い手ネットワーク会議 2025 -多文化共生地域ネットワーク支援事業-

 公益財団法人かめのり財団では、2022年度より、日本国内における多文化共生の実現に向け、担い手の育成とネットワーク形成を目的とした事業を展開しています。

 

 2026年1月23日(金)から24日(土)の2日間、多文化共生の担い手ネットワーク会議を東京にてハイブリッド開催しました。

 


概要

日程:2026年1月23日(金)~1月24日(土)

会場: L stay & grow 晴海(東京都中央区)

参加者:1月23日:対面23名、オンライン15名(合計38名)  

    1月24日:対面21名、オンライン20名(合計42名)

 


 

2025年度多文化共生の担い手ネットワーク会議

 

 会議の冒頭では、一般財団法人ダイバーシティ研究所代表理事の田村太郎氏より、外国ルーツの子どもたちを取り巻く現状や国の施策に関する講義が行われました。参加者は、この講義を通じて子どもたちが直面する課題への理解を深めることができ、午後のプログラムへとつながる重要な導入となりました。

 

 

 1日目午後の最初の登壇者である多文化共生センター東京代表理事の石塚達郎氏からは、支援から取り残されがちな外国ルーツの子どもたちの現状について報告がありました。海外の中学校を卒業して来日しても日本の高校へすぐに入学できないケース、日本の中学校へ途中編入したものの日本語力が十分でないため受験に挑めず、進路が閉ざされてしまうケースなど、支援が行き届きにくい実態が具体的に紹介されました。こうした状況を踏まえ、子どもたちへの継続的かつ切れ目のない支援の重要性を強く認識する内容となりました。

 

 2人目の登壇者であるNGO多文化LIFE代表であり、多文化共生マネージャー等様々な資格を持つ入倉眞佐子氏からは、外国ルーツの子どもたちが本来高い能力を持ちながらも、日本語力の不足を理由に学校で十分に評価されない現状について共有がありました。

 

  一方で、子どもたちが自らの力を発揮し、年下の子どもたちと関わりながら活動することで、自分の役割を見いだし、自信を育んでいく実践も紹介されました。こうした経験が子どもたちの未来を明るくし、その可能性を大きく広げることにつながるというメッセージが強く印象に残る内容でした。

 

 3人目の登壇者である当事者のヨコタ テレサ アユミさんからは、これまでの生い立ちやアイデンティティに関する葛藤、日本語が話せなかった時期に音楽と出会った経験、そしてその出会いが現在の人生に大きな影響を与えていることが語られました。お話を通じて、外国ルーツの子どもたちが日常の中で「楽しいと思えること」や「自信を持って取り組めること」を見つけていくことの重要性を改めて実感する時間となりました。

 

 

 登壇者の講義に続いて、田村太郎氏も加わり、パネルディスカッションが行われました。テーマは、①「教育・福祉・医療をつなぐ多機関連携のリアルと課題」と、②「国籍をこえて“いっしょに育つ”を実現するには」の2点で、現場の実情や当事者からの発言など活発な意見交換が行われました。

 

 

 パネルディスカッションの後には、「外国ルーツの子ども/外国人が直面する課題をどう日本社会に知ってもらうか」をテーマにグループ討議を実施しました。参加者からは、「日本人も巻き込んで活動を進める」「子どものときから外国人と何かを一緒にする機会をつくる」など、多様な視点から積極的な意見が交わされました。

 

 

 2日目は、多文化共生地域ネットワーク支援事業の助成説明会も兼ねて実施されました。
 この日は、2025年度事業助成の採択団体の中から4団体が登壇し、助成金を活用して取り組んでいる活動内容や、現場で直面している課題について共有しました。4団体の発表はいずれも地域に根差した取り組みでありながら、事業計画や助成金の使途は多様で、参加者にとって今後の事業設計の参考となる具体的な情報が得られる内容でした。また、発表後の質疑応答では多くの質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。

 

 

 

 その後は自由な意見交換・情報交換の時間となり、会場からの質問や登壇者からの投げかけ、さらに田村太郎氏からの助言など、多様な視点から活発な議論と質疑が行われました。参加者同士のネットワークが形成されつつあることも感じられ、そのつながりを生かした今後の取り組みへの期待が一層高まる時間となりました。

 

 

 2日間にわたって開催された多文化共生の担い手ネットワーク会議は、各地域での取り組みは異なっていても、目指すべき方向は共通しており、「誰もが暮らしやすい共生社会」の実現であることを改めて確認する機会となりました。この共有された認識は、参加者が今後も活動を継続していくうえでの大きなモチベーション向上につながりました。

 

 

 多文化共生の担い手ネットワーク会議2025には、参加者・登壇者の中にも外国ルーツの方々が加わり、多様な背景を持つ人々が集う場となりました。今回は特に10代・20代の若い世代の参加も見られ、世代を超えた交流が生まれたことが大きな特徴でした。
 この経験を通じて、今後は若い世代も巻き込みながらネットワークをさらに広げていくことの重要性を強く実感する2日間となりました。

 

 

 

2023年度「多文化共生地域ネットワーク支援事業」実施報告はこちら

2024年度「多文化共生地域ネットワーク支援事業」実施報告はこちら