奨学生 1月の月次レポートを掲載しました

 

 かめのり財団が支援する大学院留学アジア奨学生は、毎月月次レポートを作成し、月ごとの研究の進捗状況や日々の様子を報告しています。HPでは毎月、2名のレポートをご紹介します。

 

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2026年1月)

 

 

立命館大学大学院スポーツ健康科学研究科 身体運動科学領域専攻

博士課程前期課程(M2)

I Wayan Yuuki (イ ワヤン ユウキ)

                  

1.研究内容

 

 2026年が始まったと思ったら、あっという間に1か月が過ぎようとしています。毎年年初に「今年の言葉」を決めているのですが、今年は「土台」にしました。ヒトとして、そして研究者として、これから先を支える基盤を少しずつ築いていける一年にしたいと考えています。

 

 研究活動としては、1月15日に修士学位論文の最終版を提出しました。副査のコメントを反映した上での最終提出となり、ひとつの大きな節目を迎えた形です。続く1月27日には口頭試問を控えており、現在はその準備を進めています。2年間の集大成として、最後まで悔いのないよう取り組みます。

 

 また、先月アクセプトされた論文に関する記事が、大学ホームページにも掲載されました(掲載URL:こちらから)。博士課程のスタートラインに立つ前にこの経験を積めたことは大きな財産であり、機会を与えてくださった先生方や環境に、改めて感謝しています。現在は、2本目となる論文(続編)の執筆を開始しました。博士では修士に比べてヒントが少なく、自分で問いを立て、見つけ、考え抜く力がより強く求められます。正直なところ、いまの自分はまだ博士のスタートラインに立つ準備が十分にできていないと感じています。だからこそ、残りの3か月で試行錯誤を重ね、悩み抜きながら、力をつけていきたいです。

 

 修士課程修了までに、2本目の論文をひとつの形として仕上げ、投稿まで持っていくことが目標です。そこで得られる手応えを携えて博士課程をスタートできれば、より強い一歩になるはず。残りの期間も、全力で積み上げていければと思います。

 

 

 

 

2.私生活について

 

 私の生活は、ほとんど研究が占めています。だから「最近これをした」と胸を張って言えるような、研究以外の出来事は正直あまりありません。けれど最近、ふと腑に落ちた考え方がありました。

 

 人生には、4つのガスコンロと、ひとつのガスがある、そんなイメージです。4つのコンロはそれぞれ、「家族」「恋人」「友人」「キャリア」。そしてガスは、自分が使えるエネルギーそのもの。どのコンロにも火力の限度があって、すべてを同じように強火にはできません。強火にできるのは、せいぜい2つまで。残りの2つは、火をつける余裕がなくなる。逆に、4つ全部に弱火をつけることはできるけれど、そのぶん一つひとつの火は小さくなり、前に進む力はどうしても薄まってしまう。

 

 いまの自分は、たぶんキャリアに “強火以上の強火” を向けている時期です。だからこそ、他のコンロの火が小さくなってしまうことに、少し申し訳なさもあります。でも、これは「何かを大切にしない」ことではなく、「限られたガスを、どこにどう配分するかを選ぶ」ことなのだと思います。結局、問われているのは、どのコンロを選び、どれくらいの火力で進めるのか。そして、その選択に自分で責任を持てているか、ということです。

 

 今年の言葉を「土台」にしたのも、同じ理由だと思います。強火にできるものは限られている。だからこそ、いま燃やしている火が、未来の自分を支える土台になるように、意識して積み上げていきたいと思います。かめのり奨学生として残りわずかですが、今年も引き続きよろしくお願いします。

 

 

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2026年1月)

 

 

お茶の水女子大学大学院・比較社会文化学専攻

博士三年・曹怡(ソウ イ)

 

              

 今月は、ゼミでの発表準備に取り組んだ。正徹の子どもに関わる和歌について調査を進めているが、現段階ではまだ検討が十分とは言えず、用例の不足を感じている。今後はさらに資料を調べ、具体例を増やしながら、内容を丁寧に掘り下げていきたい。論述にあたっては、論点が散漫になりがちで、自分の言いたいことを十分に整理しきれず、結論まで述べ切れないことが多いと反省している。

 

 また、昨年学会に投稿した論文の審査結果が届き、不採用との判断であった。結果は真摯に受け止め、審査意見を踏まえて修正を行い、5月の再投稿を予定している。特に先行研究の把握に関して課題が多く残っているため、まずは関連する先行研究を丁寧に読み直し、理解を深める必要があると感じている。博士論文の構成については、すでに指導教員と相談を行ったが、なお検討すべき点も多く、今後さらに軸を明確にしながら、書き加える内容を慎重に考えていきたい。

 

 今月は、かめのりフォーラムに参加する機会を得ることができ、大変多くの学びがあった。中でも高校生の発言が特に印象に残っている。東南アジア諸国を訪れ、これまで関心を持っていなかった事柄に目を向け、それについて考える経験は、今後の人生において大きな財産になるのではないかと感じた。また、奨学生の仲間たちとも交流することができ、勉学について互いに励まし合い、温かい言葉を掛け合えたことも大きな励みとなった。

 

 月の中旬には、友人とともに大倉集古館で開催された「人々をたすけ寄り添う神と仏――道釈人物画の世界――」を鑑賞した。七福神や布袋、鍾馗など、神仏にまつわる多様な作品を拝見することができ、非常に興味深かった。地下1階に展示されていた全国各地の瓦鍾馗の写真が並ぶ展示では、投票コーナーも設けられており、さまざまな動きや表情の瓦鍾馗を見ながら、友人と楽しい時間を過ごした。さらに、25日に開催された「第1027回オーチャード定期演奏会」に招待していただき、鑑賞する機会を得た。演奏会を会場で鑑賞するのは初めてであり、生演奏ならではの迫力や響きを体感できた。

 

 来月も引き続き研究に取り組み、少しずつでも前進できるよう努力していきたい。下の写真は年末年始に訪れた海南省で撮影したものである。南海観音を参拝したが、この観音像は世界で最も高いものとして知られている。また、近くの南山は、鑑真和尚が渡航の途中に海で漂着した地として伝えられ、空海大師ともゆかりのある場所であり、現在はその歴史を伝える記念碑が建立されている。先人たちの思いに学びながら、今後も日中友好に少しでも貢献できるよう努めていきたい。

 

 

空海大師の記念碑(筆者撮影)