奨学生 9月の月次レポートを掲載しました

 かめのり財団が支援する大学院留学アジア奨学生は、毎月月次レポートを作成し、月ごとの研究の進捗状況や日々の様子を報告しています。HPでは毎月、2名のレポートをご紹介します。

 


 

 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2025年9月)

 

 

立教大学大学院社会学研究科社会学専攻

博士後期課程(D3)

具 弦俊 (グ ヒョンジュン)

                  

 

1.研究について

 

 今月は、博士論文本提出の約1年半前に提出する必要がある「博士論文準備基礎論文」があり、それに向けた準備と執筆を集中的に行った。現時点では博士論文で使用予定の主要なデータがまだ入手できていないため、今回は序論部分を中心に構成し、研究全体の方向性や問題意識、理論的背景などを明確にすることに注力した。構成としては、序論と第1~4章、そして結論という6章構成を予定しており、それぞれの章で「移民と日本人の社会経済的格差」というテーマを軸に、特定の格差指標に焦点を当てて分析を進めていく方針である。

 

 今回提出した基礎論文は、まだ初期段階とはいえ、これから本格的に博士論文に向けて進めていく上での出発点となるものである。しかしながら、提出直前まで試行錯誤が続き、論文の中身にまだまだ不完全な部分が多く残っていることを自覚しており、進捗の遅れに対して不安を感じている。締切に間に合わせることはできたが、現段階ではまだ本格的に始まってすらいないという印象に近く、今後はより一層の努力と計画的な取り組みが必要であると痛感している。

 

 一方で、2か月後には学会発表も予定されており、その準備も並行して進めていく必要がある。今回の学会発表では、8月末に投稿した論文を発展した内容を報告する予定であり、スライド作成やコメント対応の準備を来月から本格化させる予定である。また、投稿論文についても、10月中には査読結果が届く可能性があるため、それに備えた心構えも必要となってきている。リジェクトの可能性も含め、冷静に結果を受け止め、次に活かす姿勢で臨むつもりである。これから年末にかけて、複数の研究タスクが重なることが予想されるため、ペース管理と体調管理の両立がますます重要になる時期に入ったといえる。

 

2.生活について

 

 今月は、約半年ぶりに韓国に帰国し、2週間ほどを過ごした。久々の帰国で本来であれば家族とゆっくり過ごす予定であったが、持病の症状が悪化してしまい、ほとんどの時間を病院での検査・治療に費やすこととなった。そのため、家族と過ごせた時間は非常に限られており、個人的には少し心残りのある滞在となってしまった。

 

 現在は日本に戻っており、体調もかなり回復している。ただし、主治医からは繰り返し健康に十分注意するよう強く言われており、日々の生活の中でも無理をしないよう細心の注意を払って過ごしている。留学生としての立場上、休学という選択肢は現実的に難しいという点もあり、また自分自身としても学業を一時中断する意思はまったくない。その分、より一層健康管理の重要性を実感しており、日常的なリズムの調整や定期的な健康チェック、睡眠・栄養の管理などを意識的に行う必要があると感じている。

 

 


 

 

 

 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2025年9月)

 

 

立命館大学大学院スポーツ健康科学研究科 身体運動科学領域専攻

博士課程前期課程(M2)

I Wayan Yuuki (イ ワヤン ユウキ)

 

                    

 この9月は、研究と私生活の両面で多くの出来事がありました。修士論文の準備を進める中で博士課程進学への思いが一層強まり、同時に仲間との時間を通じてリフレッシュする大切さも実感しました。

 

 

1.研究内容

 

 夏休みが終わり、修士論文の提出に向けて本格的に動き出す時期となりました。その一環として、9月中旬には滋賀県の立命館大学びわこ・くさつキャンパス(所属大学)で開催された「第79回日本体力医学会」に参加し、一部の研究成果を発表しました(画像;左)。

 

 先生方との活発な議論や交流を通じて、当初の目的だった論文構成の参考(ヒントを得る)だけでなく、博士課程進学へのモチベーションや研究者ネットワークという大きな収穫を得られました。今後は国内外を問わず積極的に学会発表を行い、自分の存在や研究の価値を広く伝えていきたいと考えています。

 

 現在は実験を終え、成果をまとめる段階に入っています。得られた結果を整理するだけでなく、新たな問いを立て、申請書に落とし込むといった「考える作業」が中心です。なぜを問い直し、批判的思考を大切にしながら研究を進めていきたいと思います。

 

 

2.私生活について

 

 一方で、来月(10月)には博士入試の研究計画提出や民間奨学財団への申請書提出といった大きなイベントが控えています。修了までに合計5件ほどの申請を予定しており、「数を打てば当たる」という気持ちで挑戦していくつもりです。ただ、それらの結果が博士課程での生活費や研究環境の安定に直結すると考えると、強いプレッシャーを感じます。

 

 だからこそ、研究以外の時間を意識的に持つようにしています。普段は一人で「少しでもアドバンテージを作ろう」と研究室にこもりがちですが、思うように進まず、心にもやもやが残ることも多いです。そんなときに友人や仲間と過ごすことで気持ちが切り替わり、「また明日から頑張ろう」と前向きになれるのを実感しました。

 

 9月には、昔アルバイトをしていた焼肉屋さんの店主が当時の仲間を集め、バーベキューを開いてくれました(画像;右)。久しぶりに会った仲間たちは社会人として立派に成長していて、その姿に大きな刺激を受けました。研究の世界でこれからも頑張りたいという思いが改めて芽生えました。その日だけは計画書や申請書のことを忘れて楽しみ、そして「明日からまた頑張ろう」と思えたのが何よりの収穫でした。

 

 

 研究面では博士課程進学への意欲が高まり、私生活では仲間との時間から大きな励ましを得られた9月でした。これから待ち受ける入試や申請に向けてプレッシャーを感じる一方で、自分がこれまで積み上げてきた努力を信じたいと思います。世界人口4位のインドネシア出身で、多言語を操り、修士の段階ながら実績を重ねてきた自分、I Wayan Yuuki であることを誇りに、自信を持って前向きに挑戦していきたいと思います。

 

画像. 学会時の記念写真(左)と、元アルバイト先の仲間とのバーベキュー(右)