奨学生 5月の月次レポートを掲載しました
2025.06.05
かめのり財団が支援する大学院留学アジア奨学生は、毎月月次レポートを作成し、月ごとの研究の進捗状況や日々の様子を報告しています。HPでは毎月、2名のレポートをご紹介します。
かめのり大学院留学アジア奨学生
月次報告レポート(2025年5月)
立教大学大学院社会学研究科社会学専攻
博士後期課程(D2)
具 弦俊 (グ ヒョンジュン)
1.研究について
5月は、これまで長期間にわたって準備してきた論文の結果が返ってきた月であり、結果としては残念ながら期待していたような評価を得ることはできなかった。問題としては、論文の独自性や分析手法の妥当性に関して厳しい指摘があり、特に実証分析の結果にかなり問題があると考えられるとの評価があった。このような結果を真剣に受け、指導教員の先生と何度か面談を行い、既存の構成や主張を修正するだけでは限界があるという結論に至った。そのため、思い切って従来の構成には固執せず、新しい視点からテーマ設定を行い、まったく新たな論文として再構築する方針を取ることとなった。現在は、これまでに収集したデータのうち活用可能なものを選び直しながら、新たな問いの設定や理論枠組みの再設定に注力している。
同時に、6月中旬から始まる予定の春季学会報告の申請準備にも取りかかっており、学会発表に向けて資料の初稿を今月中に完成させることを目指している。今回の発表は、研究の中間報告ではなく、ある程度の結果が示せる段階にまで分析を進めたうえで行う予定であるため、資料の構成や要旨の明瞭性にも特に注意している。分析章では先行研究との比較検討も盛り込む予定であり、スライド資料の設計段階から慎重に内容の取捨選択を行っている。残された時間を有効に使い、指導教員の先生からのフィードバックも逐次反映させながら、質の高い発表を目指して準備を進めていきたい。
2.生活について
最近は生活リズムの維持と調整に苦労している。研究やアルバイトの時間が主に夕方から深夜にかけて行われることが多いため、就寝時間も遅くなりがちである。最近では午前3時から4時頃にようやく就寝する日もあり、次の日に午前中から大学での用事がある場合、十分な睡眠を確保するのが難しいという問題が生じている。このような不規則な生活が続くと、集中力の低下につながり、研究の効率にもかなり悪影響が出ているため、調整の必要性を強く実感している。
こうした状況を改善するため、最近では夜の作業を意識的に早めに切り上げるよう心がけており、特に翌日に朝早い予定がある場合には、パソコンやスマートフォンの使用を控えめにし、なるべく早めに入眠できる環境を整えるよう工夫している。寝る前に軽いストレッチや運動をするなど、睡眠の質そのものを高める努力もしており、少しずつではあるが改善の傾向も見えてきた。6月以降は、より安定した生活リズムを確立し、健康を維持しつつ、研究活動の質も高められるよう引き続き意識的な生活管理に取り組んでいきたいと考えている。
かめのり大学院留学アジア奨学生
月次報告レポート(2025年5月)
筑波大学大学院人間総合科学学術院教育学学位プログラム
博士後期課程(D2)
甄 卓榮 (ケン タクエイ)
1. 研究について
今年1月から構想し始めた量的調査について、現在、複数の高校で授業見学を行いながら、生徒の「国家意識」に関するアンケートを今月末にようやく実施できました。大学の倫理審査が今月中旬に承認された後、すぐに高校の先生方や管理職との打ち合わせを開始し、都内の1校と県内の2校からアンケート実施の協力を得ました。社会科の授業時間を利用しての実施のため、先生方の授業計画に影響を与える懸念もありましたが、実際に訪問すると、ほとんどの先生が熱心に協力してくださいました。
現在実施中の1校目では、社会科(地理・公民)の3名の先生のご協力のもと、全学年約700名の生徒ほぼ全員からアンケート回答を得ることができました。これにより、外部調査では得難い高品質なデータを収集できました。このデータは、対象校の生徒全体の意識分布を概観できるだけでなく、群間差(例:男女別、学年別、文理別など)の分析も可能にし、アンケート調査の基礎となる理論モデルの見直しにも役立ちます。現在は、収集したデータの整理と分析を進めています。6月には他の2校でアンケートを実施し、学力層や所在地域が異なる学校間での比較分析を行う予定です。これにより、興味深い結果が得られるのではないかと期待しています。この量的研究をもとに、7月には学会での英語発表を予定しており、研究成果を論文にまとめたいと考えています。
大量のデータを統計ソフトで分析するには、当然ながら技術が必要です。私は量的研究の経験がそれほど豊富ではありませんが、勉強しながら分析を進めています。質的調査では明らかにできない意識分布や変数間の相関関係を発見するたびに、量的手法の有用性を改めて実感します。特に、想定外の結果こそが、これまでの解釈を見直す契機となり、新たな知見につながる可能性があります。
さらに、今月は教育哲学の授業やゼミにも積極的に参加し、現代の教育学者や現場の教員の問題意識に触れる機会を得ました。たとえば、探究学習に関する日本の教育改革について議論しました。探究学習は、生徒の主体性や批判的思考を育むと期待されていますが、実際の導入状況は学校によって大きく異なります。成功している学校とそうでない学校の差は、教師の指導力、学校の管理体制、または生徒の学力背景にあるのか、また、探究学習は学力差を乗り越えて教育の「公正」を保障できるのか、といった問題について深く考察しました。
2.生活について
今月もサークル活動に積極的に参加し、特に新歓会では多くの新入生と交流し、スポーツを通じて親睦を深めました。バレボールやアルティメットのサークルでは、チームワークを大切にした活動やイベントの企画を通じて、新入生だけでなく上級生とも新たなつながりが生まれ、充実した時間を過ごせました。また、こうした活動を通じて、研究や学業以外の場でのコミュニケーション能力やリーダーシップも磨かれていると感じています。今後もサークル活動を通じて、学生生活をより豊かにしていきたいと思います。