奨学生 2月の月次レポートを掲載しました

 

 かめのり財団が支援する大学院留学アジア奨学生は、毎月月次レポートを作成し、月ごとの研究の進捗状況や日々の様子を報告しています。HPでは毎月、2名のレポートをご紹介します。

 

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2026年2月)

 

 

筑波大学大学院人間総合科学学術院教育学学位プログラム

博士後期課程(D2)

甄 卓榮 (ケン タクエイ)

 

1.生活について

 

 今月は春節ということで、上旬の10日間、上海に戻り、母方の家族と過ごしました。上海に帰るのは1年ぶりでしたが、今回は弟もカナダから来て合流し、実家で一緒に過ごすことになり、少し賑やかな春節となりました。とはいえ、大晦日は16日でしたが、私はその前に日本へ戻らなければなりませんでした。授業見学の日程がすでに組まれており、家にいられたのはわずか10日間ほどでした。この10日間で家族と小旅行に出かけたり、ゲームや麻雀を楽しんだりしながら、ゆっくり過ごしました。バレーボールもしたかったのですが、上海市内では一般向けに利用できる体育館でバレーボールができる場所が極めて少ないため、あえて郊外の施設に行ってみました。行ってみると、バレーに夢中になっている若者や社会人がたくさん集まっており、楽しくゲームをすることができました。ただ、人口規模で言えば東京並みの上海でありながら、一般市民が利用できる体育施設の供給はまだ十分とは言えないという現実にも気づき、それをどう改善できるのかについて考え始めました。

 

 上海から日本に戻ると、大学は休みに入っていたため、キャンパスも研究室も閑散としていました。幸いバレーボールの練習はあり、友人たちと試合を楽しみながら技術を磨くことができました。中旬頃にはサークルの友人たちと雪合宿で長野へ行き、1泊2日で観光とスノーボードを楽しみました。凍った湖の上に雪が積もっている光景を初めて見て、印象に残りました。

 

2.研究について

 

 今月は論文執筆をいったん後回しにし、読書と調査の実施に専念しました。上海から戻ってすぐに授業見学を再開し、複数の調査校の先生方に連絡を取り、第2回アンケート調査の実施をお願いしました。月末には大部分のデータを入手し、分析を進める予定です。このようなパネル調査によって、前回の結果と比較しながら、生徒一人ひとりの意識の変化を追跡することが可能になります。その上でインタビュー調査を実施し、数値的な変化の背後にある意味まで掘り下げたいと考えています。現在はデータ整理と並行して、インタビュー調査の準備を進めています。授業参加を通して関係を築いた生徒に依頼し、その語りから彼ら・彼女らの成長や思想の変化を捉えようとするものですが、タイミングや内容について工夫すべき点が多くあります。幸い、現場の先生方の協力も得られており、現在のところ順調に進んでいます。

 

 また、最近読んでいる本からも研究への多くの示唆を得ました。先月から読み始めた宇野常寛の『ゼロ年代の想像力』をようやく読み終えました。この本は1990年代から2000年代の文化を中心に論じていますが、そこで提示された課題は今なお重要であると感じています。つまり、「国のため」「経済成長のため」といった大きな物語が破綻したとされる現在の自己責任社会の中で、人々(特に若者)はどこに人生の意義を見いだそうとしているのか、という問題です。そして、その意義の求め方とこの国のあり方との間には、どのような相互関係があるのでしょうか。私の調査データを見る限り、国に意義を求めないと答える生徒が大多数を占めています。しかし、本当に「大きな物語」が機能しなくなったのかというと、必ずしもそうとは言い切れないようにも感じています。その「機能のしかた」こそが、今後研究すべき対象なのではないかと考えています。

 

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2026年2月)

 

 

立教大学大学院社会学研究科社会学専攻

博士後期課程(D3)

具 弦俊 (グ ヒョンジュン)

              

1.研究について

 

 2月は、ほぼ一か月を通して、投稿論文の修正作業のみに専念した月であった。1月に受け取った査読結果に基づき、二名の査読者から提示されたコメントに一つひとつ対応していく作業を続けたが、想像以上に大変な作業であった。というのも、二人の査読者が指摘している論点や問題が必ずしも一致しておらず、ある部分を修正すると別の観点からは説明が不足する、といった状況が生じたためである。両者の意見を同時に取り入れつつ、論文全体の一貫性を損なわない形で再構成することは容易ではなく、文章の書き直しや分析の再整理を何度も繰り返すことになった。

 査読コメントを丁寧に読み込む過程で、自分の論文にいかに多くの改善点や論理的な欠点があったかを改めて痛感した。理論の位置づけの甘さや、分析結果の提示方法の不十分さ、議論の飛躍など、これまで十分に意識できていなかった問題点が浮き彫りになり、非常に勉強になる経験でもあった。今回の修正作業は研究をより洗練させるための貴重な機会であると捉え直し、可能な限り丁寧に対応することに心がけた。

 最終的には、締切期限内に無事修正稿を提出することができ、ひとまず大きな山を越えたという達成感がある。もちろん、再査読の結果がどうなるかはまだわからないが、今回指摘された点を今後の研究に活かすことが何より重要だと感じている。この経験を通して、論文執筆における構成力や論証の精度をより意識するようになった。次に準備する論文では、今回学んだ教訓を踏まえ、より完成度の高い原稿を目指して取り組んでいきたい。

 

2.生活について

 

 2月の生活は、研究以外に特筆すべき出来事はほとんどなく、比較的静かな一か月であった。投稿論文の修正に集中するため、アルバイトもほとんど入れず、外出する機会もかなり減っていた。その結果、生活リズムは単調ではあったが、余計な疲労が蓄積することもなく、体調面では安定した状態を維持できたように思う。

 外出が少なかった分、自宅で過ごす時間が長くなり、日常の家事がやや後回しになっていたことにも気づいた。今後は、溜まっている家事を少しずつ片付けながら、生活環境を整えていきたいと考えている。また、最近は忙しさを理由に自炊の機会も減っていたが、久しぶりに料理をする時間を作り、生活に小さな楽しみを取り戻したいと思っている。

 全体としては派手さのない一か月であったが、その分、研究に集中し、体調も崩さずに過ごせたことは大きな収穫であった。3月以降の新たな課題に向けて、引き続き安定した生活を維持していきたい。