奨学生 9月の月次レポートを掲載しました

 かめのり財団が支援する大学院留学アジア奨学生は、毎月月次レポートを作成し、月ごとの研究の進捗状況や日々の様子を報告しています。HPでは毎月、2名のレポートをご紹介します。

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2025年9月)

 

早稲田大学社会科学研究科修士1年

宋 在洹

                  

1.研究について

 

 今月も先行研究分析を中心に行った。担当教授との複数回の面談を通し、修士論文の大まかな方向性が定まったため、具体性を持って研究や分析に臨むことができている。そして、今月は研究のための様々な新しいツールを試した。例えば、PDFを編集できるソフトやAIの活用、先行研究の電子保管先の検証などを試した。

 

 今月から突然そんな新しいツールを試している理由は主に二つある。一つは、新しいパソコンを購入したことである。以前より使用していたパソコンは今年で6年目となり、ついにWi-Fiを認識できなくなるなど致命的な支障が垣間見えたため、最新のパソコンへの乗り換えを決断した。これにより、従来の性能では処理できなかったツールを試すに至った。そして、先日の研修交流会で他の奨学生の方々と情報交換ができたことも理由として挙げられる。先輩研究者でもある方々から実際にどのような研究のツールを使用しているかを聞き、実際に自分でも試してみようと実行に至った。

 

自分の持てるものを最大限活用し、これからも不易流行の精神で研究を進められるよう努めていきたい。

 

2.生活について

 

今月中旬に1週間ほど母国である韓国へと帰省した。1年ぶりの帰省となった今回、多くの変化を実感した。

 

 例えば、町中で外国人の姿をよく見かけた。実際、調べてみると訪韓外国人の数は前年比だけでも20%増加している。私の地元は釜山であり、首都ソウルと比べると外国人の数も劣るだろうがそれでも多くの観光客の姿を見ることができ、活気あふれる都市の姿に嬉しく思われた。

 

 しかし、このような良い変化ばかりではなかった。郊外では人口流出や高齢化に伴う空き家や空きテナントの増加が深刻だ。私の家は観光地にあるため実感としてそのようなことをあまり感じることはなかったが、友人の話だと確かに体感しているらしい。実際、2050年までに高齢化率が50%を超える可能性があるとされ、「消滅危険地域」に釜山は分類された。私自身も釜山を離れた側の人間であり、大きなことは言えない身分であるが、暮らしていた故郷の姿が思い出となって過去に取り残されてしまうことには大変寂しさを感じる。

 

 今回の帰省ではリフレッシュはもちろんのこと、多くの変化を感じた。私自身の環境が今年から大きく変わったことも影響しているだろう。きっと、いつか胸を張って故郷に帰れるように、そして私自身が故郷に活力を今一度もたらすことのできる人間になれるように、今後ともより一層の努力をしていきたい。

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2025年9月)

 

 

立命館大学大学院スポーツ健康科学研究科 身体運動科学領域専攻

博士課程前期課程(M2)

I Wayan Yuuki (イ ワヤン ユウキ)

 

                    

 この9月は、研究と私生活の両面で多くの出来事がありました。修士論文の準備を進める中で博士課程進学への思いが一層強まり、同時に仲間との時間を通じてリフレッシュする大切さも実感しました。

 

1.研究内容

 

 夏休みが終わり、修士論文の提出に向けて本格的に動き出す時期となりました。その一環として、9月中旬には滋賀県の立命館大学びわこ・くさつキャンパス(所属大学)で開催された「第79回日本体力医学会」に参加し、一部の研究成果を発表しました(画像;左)。

 

 先生方との活発な議論や交流を通じて、当初の目的だった論文構成の参考(ヒントを得る)だけでなく、博士課程進学へのモチベーションや研究者ネットワークという大きな収穫を得られました。今後は国内外を問わず積極的に学会発表を行い、自分の存在や研究の価値を広く伝えていきたいと考えています。

 

 現在は実験を終え、成果をまとめる段階に入っています。得られた結果を整理するだけでなく、新たな問いを立て、申請書に落とし込むといった「考える作業」が中心です。なぜを問い直し、批判的思考を大切にしながら研究を進めていきたいと思います。

 

2.私生活について

 

 一方で、来月(10月)には博士入試の研究計画提出や民間奨学財団への申請書提出といった大きなイベントが控えています。修了までに合計5件ほどの申請を予定しており、「数を打てば当たる」という気持ちで挑戦していくつもりです。ただ、それらの結果が博士課程での生活費や研究環境の安定に直結すると考えると、強いプレッシャーを感じます。

 

 だからこそ、研究以外の時間を意識的に持つようにしています。普段は一人で「少しでもアドバンテージを作ろう」と研究室にこもりがちですが、思うように進まず、心にもやもやが残ることも多いです。そんなときに友人や仲間と過ごすことで気持ちが切り替わり、「また明日から頑張ろう」と前向きになれるのを実感しました。

 

 9月には、昔アルバイトをしていた焼肉屋さんの店主が当時の仲間を集め、バーベキューを開いてくれました(画像;右)。久しぶりに会った仲間たちは社会人として立派に成長していて、その姿に大きな刺激を受けました。研究の世界でこれからも頑張りたいという思いが改めて芽生えました。その日だけは計画書や申請書のことを忘れて楽しみ、そして「明日からまた頑張ろう」と思えたのが何よりの収穫でした。

 

 研究面では博士課程進学への意欲が高まり、私生活では仲間との時間から大きな励ましを得られた9月でした。これから待ち受ける入試や申請に向けてプレッシャーを感じる一方で、自分がこれまで積み上げてきた努力を信じたいと思います。世界人口4位のインドネシア出身で、多言語を操り、修士の段階ながら実績を重ねてきた自分、I Wayan Yuuki であることを誇りに、自信を持って前向きに挑戦していきたいと思います。

 

画像. 学会時の記念写真(左)と、元アルバイト先の仲間とのバーベキュー(右)