奨学生 2月の月次レポートを掲載しました

 かめのり財団が支援する大学院留学アジア奨学生は、毎月月次レポートを作成し、月ごとの研究の進捗状況や日々の様子を報告しています。HPでは毎月、2名のレポートをご紹介します。

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2024年2月)

 

 

横浜国立大学大学院環境情報学府自然環境専攻

博士前期課程(M1) CHEN ZIYAN(チェン ジアン)

 

1.研究生活

 

 今月の2月18日に初めてポスター発表を行った。第44回関東生態系関連修士論文発表会に参加し、まだ成果のない研究で、色んな人に知ってもらうという目的を持って、ポスター発表してきた。初めてのポスターで、スライド複数枚を使っていた。様々な人に自分の研究を紹介し、とても貴重なアイデアをいくつかももらった。3月16日から生態学会もあるため、その日に向けて、ちゃんと印刷できたポスターを作ろうと思っている。

 

 修士論文発表会では、様々な面白い研究を聞くことができた。一番記憶に残っているのは、早稲田大学からの学生が「ヘビの呪い」について紹介したことである。背景として、無毒のヘビを捕食する鳥類がいて、この無毒のヘビが特徴的な匂いを持っている分泌物を分泌することができ、鳥類に捕食される時に、無毒な分泌物を放出し、捕食者である鳥類の体に分泌物をつける。この分泌物がヘビの「呪い」であり、分泌物をつけている鳥類捕食者が呪われている。「呪い」が、その捕食者にとっての寄生者や高次捕食者を誘引する効果があるのではないかという仮説を本研究で建てられ、検証された。結果、寄生者を誘引することができなかったが、研究対象の鳥類の捕食者を誘引することができた。この学生がこの研究テーマを持って博士に行くのを知ったため、今後ヘビの呪いに対する仮説を完備することを期待できるだろう。

 

2.日常生活

 

 この一か月間がとても忙しかった。2月15日までずっと筑波大学山岳科学研究センターで実験を行っていた。そこから横浜に戻り、2月20日から東京大学の先端科学技術研究センターで植物形質のデータを整理するアルバイトをし始めた。応募するときに、植物をもっと知りたい、データ抽出をもっとうまくできたらいいなと思って応募したが、実際作業をしたら、まあまあ勉強になって、3月いっぱいまでにする予定である。

 

 2月の時にお世話になっている筑波大学花研の教授とそこで働いている研究員の自分の先輩と自分の研究室の博士と一緒に山登りをしてきた。菅平にある小根子岳と根子岳を登ってきた。2月10日という中国新年初日に皆さんと山登りをして、自分にとって初めての山登りで、チャレンジではあった。おかげ様で晴れた日に景色がよかったので、その日に景色を見て感嘆しながら、もっといい景色を見たいという信念を持って頑張って山頂まで行った。山頂で食べたラーメンは本当においしかった。下りは歩いて来たのではなく、スノボーをしてきた。ずっと無理だと思ったのに、やれば結構楽しかった。この場を持って、特に装備を準備してくれて、計画をしてくれた田中先生、菅平で実験することを呼び掛けてくれて、滞在時に何回かごはんを買ってきてもらった冨高様、山登り計画を初めて提起し、スノボーをしょってもらったHarsh様に感謝を申し上げます。

 

(左から)田中先生、冨高様、Harsh様、CHEN

 

日本アルプス

 

 

 

 

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2024年2月)

 

名古屋大学大学院経済学研究科社会経済システム専攻

博士前期課程(M1) 侯 心琦 (ほうしんち)

 

 

1.学業について

 

 今月上旬には主に国際会計という授業の期末レポートをこなし、やっと今学期の終わりを迎えました。レポート内容は、国際会計基準に関する論文の要約とレビューでした。私が読んだ論文の趣旨は、国際会計基準(IFRS)が先進国に導入されているものの、同じ基準であっても、国によっては実施状況や会計処理に対する選好は異なり、国際的な会計差異は解消されていないという現象についての議論でした。そのような違いを、「動機」と「機会」の面からみていきます。国によって違う会計処理をする傾向にある「動機」は、主に金融構造、法的構造および税収構造に起因します。

 先進国の金融構造を二つに大別すると、株を経由し株主から融資を受けるタイプ(米国、英国)と銀行や地方政府から融資を受けるタイプ(ドイツ、日本)があります。金融構造の違いは財務報告のシステムに影響をもたらし、例えば、ドイツ企業は外部(外国)からの融資の割合が比較的に少ないため、国際会計基準の適用に向けて積極的ではないと考えられます。そして、国際会計基準の下でも、同じ事柄に対して異なる会計処理をする「機会」も沢山あります。

 IFRSは原則主義で制定したため、複雑な事象にあたって、どうやって基準を実務に落とし込むか、経営者の判断に頼るときがあります。このように、国際的な会計差異はIFRSの導入によって収束しつつあるものの、違う国の財務諸表を比較する際に、依然としてその国と企業ごとの方針を確認しなければなれません。

 

2.生活について

 

 今月からは米国公認会計士(USCPA)の勉強を始めました。元々国際会計の内容は、国際会計基準と米国会計基準の違いの比較がポイントだったので、この授業のおかげで、勉強内容をよりイメージしやすかったです。受講料と書籍代は痛い出費だったが、奨学金を受けているため生活の問題にはなりません。振り返れば、来日してから約一年の間、本当に余裕のない生活をしていて、いろいろしんどかったですが、いまはこうして日本生活を楽しめるようになったのは、かめのり財団のおかげです。自己研鑽の資金をくださり、本当にありがとうございます。

 

 また、来年度の中部台湾人留学生会の会長になることが決まりました。会長という職務を機に、日本で努力している台湾人の先輩や台湾に興味を持ってくださる日本人など、沢山の方々と交流できれば幸いです。学業に支障が出ない上で、精一杯頑張ります。