破壊的イノベーションの時代を生きるための7つの能力・資質と将来設計

弊財団では、アジアの国々との相互理解の促進やグローバル人材育成を目的とした講演の機会を提供しています。今回はカリフォルニア大学サンディエゴ校の當作靖彦教授に福岡県立香椎高等学校でご講演いただきました。

 

 2020 年2 月21日(金)、カリフォルニア大学サンディエゴ校からのメッセンジャーは、これから訪れる見えない未来を視覚化させ、そこで生きていくために必要な備えを示し、参加した全ての生徒と教師に、将来の自分のために今何をすべきかを教えてくれました。
 福岡県立香椎高等学校は、各学年普通科8クラスとファッションデザイン科の1クラス全日制高等学校であり、部活動入部率90%以上で来年創立100 周年を迎える伝統校です。「自ら考え、情報を収集・選択でき、主体的に行動する人材の育成・輩出」を教育目標として、生徒たちはSDGsから選択した課題を探究しています。
 メッセンジャーは當作靖彦教授で、「破壊的イノベーションの時代を生きるための7つの能力・資質と将来設計」というテーマで、質問を含めた60分間の講演をいただきました。演題の「破壊的イノベーション」のイメージから、ネガティブで不安を感じる内容を想像していましたが、これまでの歴史から見られるような古いものを少しずつ改良・変化させてきた緩やかな移り変わりから、古いものを破壊して新たなものを築くといった瞬間的な変化へと変貌するという、短時間でとんでもない進化を続ける世界に適応する力を身につけなければならないとの警鐘でした。
 よりよい社会を創るために人の代わりとして開発されたAIに人が支配される世界、これまで映画の中で見てきた話を、先生は現実のものと確信させるだけの科学的根拠と数量的実例を示し、明確なイメージをもたせてくれました。
 私はこれまで、何になりたいかを見つけ、その職業に必要な能力や資質を習得するためにすぐにでも取り組んだ方が良い職業であれば進学する必要はないし、更に修学を必要とするものならば、大学や大学院、専門学校といった方向に進路を取り目標の達成を目指すよう指導をしてきました。しかし、今回の講義で示されたように、現在の社会を構成する様々な職業の多くが消えていき、現状では想像もできない職業に移り変わること、生涯の中で複数の職業を経験することが当たり前になる将来が来るならば、目標設定の形を大きく変化させる必要があります。しかも早急にです。
 何が起きても対応でき、その変化をチャンスに変えることができる、そんなことを可能にするための7つのソフトスキルである1)創造力、2)多様性の尊重、3)共感力、4)高度な思考力・問題解決能力、5)コミュニケーション能力、6)変化への適応性、7)自律的学習能力を伸ばし、破壊的イノベーションによって突如出現する世界を自らのチャンスに変えることができる、冬を耐え、一斉に芽吹く春を待つかのように、未来の急激な変化を不安に感じることなく、ワクワクしながらチャンスに変えられる、そんな生徒を育てたいと思いました。
 講演が終了し、私の中にもイノベーションを起こしていただいたと充実感を感じていた時、生徒は「将来、AI 搭載のロボットと結婚したり働いたりする時、ロボットの人権はどうなると考えるか」と先生に問いました。
 ロボットに自らの権利が認められれば、ロボットによる人間への支配は止められなくなる・・・もう一つの質問は「AI さえも破壊するイノベーションはいつ起きるのか」・・・
 今聞いたばかりのAI の世界を想像していた私に対し、生徒たちの発想は遥かに先をいくもので、満足していた自分の小ささを笑いながら、生徒の未来への可能性を心から嬉しく思いました。

報告:香椎高等学校 教頭 高木 浩信

(「かめのりコミュニティ No.33 2020年3月」より再録)